🐰うさぎ

うさぎ

うさぎの絵本

ピーターラビットのおはなし 
ビアトリクス・ポター(作・絵) 石井桃子(訳) 福音館書店

うさぎのピーター。お父さんはマグレガーさんの畑に入り捕まってパイにされてしまった。
お母さんは、「マグレガーさんの畑に行ってはいけない」と言いつけるが、ピーターはそんなことを聞かずに行ってしまう。野菜を食べすぎておなかが痛くなってしまったピーターは
パセリを探します。そんなとき、マグレガーさんに見つかってしまい、追いかけられます。
逃げるピーター。やっとのことで逃げ帰ったときには、上着も靴も畑に置いてきてしまっていました。すっかり疲れ切って家に帰ったピーターを、お母さんはベッドに寝かせカモミールティーを用意してあげます。
ちなみに、いい子にしていたピーターのお姉さんたちは、パンと木苺とミルクの食事です。
そして、置いてきてしまったピーターの上着と靴は、マグレガーさんの畑のかかしの衣装になりました。

ビアトリクス・ポター

ヘレン・ビアトリクス・ポター (Helen Beatrix Potter)
1866年7月28日 イギリス・ロンドン生まれ
1980年 ペットショップでうさぎを買い、”ベンジャミン・バウンサー”と名付ける。
1893年 2代目のうさぎ(ベルギーウサギ)を購入。”ピーター・パイパー”と名付ける。
1901年 「ピーターラビットのおはなし」を自費出版
1902年 「ピーターラビットのおはなし」フレデリック・ウォーン社から出版
1913年 弁護士ウィリアム・ヒーリスと結婚。
1943年8月4日 カッスル・コテージにて死去。77歳。 
   
ポターは、家庭教師のつく形で教育を受け、学校に通うことはなかった。孤独であり、結果ひとり遊びで過ごす時間が多くなった。幼い頃から、絵を描くことが好きであった。また、さまざまな動物を飼育したり、きのこの研究などにも熱心に取り組んだ。

ピーターラビット

ピーターラビット(Peter Rabbit) 
1893年9月4日に、ポターが家庭教師の息子(ノエル君、5歳)に宛てた手紙が原型となるお話。このため、この日が”ピーターラビット”の誕生日とされている。
「ピーターラビットのおはなし」のモデルは、ポターが飼っていたうさぎの”ピーター”。
しかし、執筆時前にピーターが死んでしまっていたので、絵のモデルは別のうさぎ。また、
ベンジャミン(最初のうさぎ)も数多く登場している。

本の英名・「The Tale of Peter Rabbit」
日本語タイトル・「ピーターラビットのおはなし」「ピーターうさぎ」
        「ピーターうさぎのぼうけん」

ニア・ソーリー

ニア・ソーリー(Near Sawrey)村
イギリス・カンブリア州、湖水地方・エスウェイト湖(Esthwaite Water)畔の村。

村にある建物や道路など、ポターの作品に出てくるシーンがそのままに残っている村。
ポターが当時、その場でデッサンしていたシーンが思い描けてしまいそうです。

ポターは幼少の頃に避暑に訪れた湖水地方に焦がれていました。”ピーター”で成功してからこの地の農場を購入し、結婚後の生活はここで始まります。結婚してからは、創作活動より農場経営や自然保護活動に重きを置く生活になっていきました。ナショナルトラストの活動を支援しており、ニア・ソーリーの多くの土地を購入し、遺言では、4,000エーカー以上の土地をナショナルトラストに遺している。
湖水地方原産の羊(ハードウィック種)の保護・飼育・育成に積極的に取り組み、品評会にも参加し多くの受賞も果たしています。

イギリスのうさぎたち

イギリスの物語でうさぎが出てくるものと言えば、「不思議の国のアリス」もあります。

三月ウサギ(March Hare)

ルイス・キャロル(作)『不思議の国のアリス』中の野ウサギのキャラクター

イギリスには「三月のウサギのように気が狂っている」という言いまわしがある。
“Mad as a March hare”
「三月ウサギ」は、この言葉から生まれたキャラクター。

➡また、イギリスには「三月のライオンのようにやって来て、子ヒツジのように去る」という天気にまつわる言い回しもあるそうです。
“March comes in like a lion and goes out like a lamb”

●三月ウサギの登場場面

•<第6章 豚とコショウ>
アリスはチェシャ猫から、三月ウサギと帽子屋の家を教えてもらう。
そのときチェシャ猫はアリスに、三月ウサギと帽子屋は「狂っている」と話す。
アリスは今は5月だから大丈夫だろうと、三月ウサギの家へ行く。

•<第7章 狂ったお茶会>
三月ウサギの家の前で開かれていたのは、帽子屋と眠りネズミとのお茶会。
アリスはお茶会に参加する。
三月ウサギの奇妙な言葉や振る舞いに、アリスは困惑する。

•<第11章 誰がタルトを盗んだ? >
三月ウサギは、裁判に出廷する。帽子屋と眠りネズミもいる。
帽子屋の支離滅裂の証言に、三月ウサギは横から口を出す。

•「鏡の国のアリス」では、
三月ウサギは「ヘイヤ」という名前で登場する。
帽子屋は「ハッタ」という名前で登場する。
共に、”白の王”の使者という役まわりであります。

白ウサギ(White Rabbit)

言葉を話し洋服も着ている、擬人化されたウサギのキャラクター。
アリスは、時計を見ながら急ぐ白ウサギを追って、ウサギ穴に落ちてしまいます。
そして、不思議なお話が始まります。

●白ウサギの登場場面

•<冒頭>
チョッキのポケットから時計を取り出し「遅刻だ! 」と、ウサギ穴へ入って行きます。

•<第2章>
白ウサギは正装に着替えている。広間にいるアリスの前を通って行きます。
白ウサギは、ケーキを食べて大きくなったアリスに驚きます。
このとき、皮手袋と扇子を落とし、その扇子でアリスは小さくなります。

•<第3章>
白ウサギは、失くした皮手袋と扇子をさがしに戻って来ます。
アリスを召使いのメアリー・アンと間違えて、家からとってくるように言いつけます。

アリスは白ウサギの家で、瓶の飲み物を飲んでしまいます。
アリスは部屋いっぱいに大きくなり、窓から腕が飛び出します。
白ウサギはアリスを追い出すために”トカゲのビル”を部屋の中に入れます。
ビルはアリスに蹴られて、失神します。
アリスは、投げ入れられた小石が変化したケーキを食べて、元に戻ることができます。

※メアリー・アン=当時のイギリスで、召使いを婉曲に表現する語だったとされています。

•<第8章>
白ウサギは、ハートの王、女王等がいるところに登場します。

•<第10・11章>
白ウサギは、裁判の布告役で登場します。
「ハートの女王」の歌やナンセンスな詩を歌います。
裁判役のハートの王に目配せをしたりします。

●白ウサギのモデル

オックスフォード大学医学部教授 ヘンリー・ウェントワース・アクランドと言われています。

アクランド教授は、
当時のイギリス皇太子とレオポルド王子の名誉医師。リデル家のかかりつけ医。
「ひげを生やし、スマートな着こなし、足早に歩く癖、よく遅刻した」そうで…
…そんなところが、白ウサギのモデル云々の理由でしょうか…
また、アクランド教授の標本だらけの研究室は、アリスが落ちて行きながらウサギ穴で見た、瓶や毒薬が並んだ棚に反映されているとも言われています。

※リデル家=
オックスフォード大学クライスト・チャーチ・カレッジの学寮長ヘンリー・リデルの一家。

●ルイス・キャロル ( Lewis Carroll 1832年1月27日-1898年1月14日 )

イギリスのチェシャ―州ウォーリントン生まれ 
作家、詩人、数学者、論理学者、写真家
本名 チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン ( Charles Lutwidge Dodgson ) 

1851年 オックスフォード大学クライスト・チャーチ・カレッジに入校する。
1854年 カレッジ卒業。成績は優秀であった。同校の数学教師となる。
1856年 ヘンリー・リデルがカレッジの学寮長となる。
    ドジソンはカメラを購入し、リデル家の三姉妹もその被写体となる。
      ※三姉妹=ロリーナ、アリス、イーディス
1862年 7月 4日 ドジソンは三姉妹等とアイシス川へピクニックに出かける。
        この途上で、最初の「アリス」の筋書きが生み出された。
1864年11月26日  「親愛なる子へのクリスマスプレゼントとして、夏の日の思い出に贈る」
        と献辞されたドジソンの肉筆本となる『地下室のアリス』がアリスに贈ら
        れた。
1865年 『不思議の国のアリス』出版される。    
    出版にあたっては、「地下室のアリス」が加筆され、挿絵はジョン・テニエル。
    ”ルイス・キャロル”というペンネームが使われた。

1881年まで、クライスト・チャーチ・カレッジの教職に就き、その住居で暮らした。

主な作品として、
1872年 『地下室のアリス』
1876年 『スナーク狩り』
1889年・1893年 『シルヴィーとブルーノ』の各巻 など


あつまれ、うさぎたち

うさぎが登場する絵本を紹介します。

外国の絵本

きつねとうさぎ ロシアの昔話
フランチェスカ・ヤールブソワ(絵) ユーリー・ノルシュテイン(構成) 

こじまひろこ(訳) 福音館書店

きつねの家は氷で出来ていた。うさぎの家は木の皮で出来ていた。きつねは冬の間は問題なく快適にすごしていたものの、春になったら当然のことに氷は解けてしまいます。すると、きつねはうさぎの家を奪ってしまいます。うさぎはオオカミなどに助けを求めますが、どうしてもきつねにかないません。と、オンドリが登場して…!
なんとも趣のあるうさぎの絵に誘われてしまいます。



カンジカおばあさんのおきゃくになったうさぎたち エヴェンキ民話
アンナ・ガルフ(再話) 内田莉莎子(訳) 小野かおる(絵) 福音館書店

こどものとも 1994年3月号(456号)

森のはずれの松の木のねもとに三匹の子うさぎが住んでいました。やんちゃなうさぎたちでした。ギシ、ギシと音がしてきて…クズリ(イタチの仲間)が子うさぎたちを「食ってやるぞ」とやって来ます。子うさぎたちは、カンジカおばあさんの家に逃げ込みました。それから、一緒に暮らすようになりました。おばあさんは狩りに行きます。子うさぎたちも狩りに行きたくなります。なにせ、やんちゃな子うさぎたちのことですから、おばあさんの槍を持ちだして行くのですが……
エヴェンキはロシア中部の自治区。このお話は、東シベリア少数民族に伝わる民話。



うさぎのおうち
マーガレット・ワイズ・ブラウン(作) ガース・ウィリアムズ(絵) 

松井るり子(訳) ほるぷ出版

木が芽吹き花が咲きはじめる季節になると、動物たちも心ウキウキ活動しはじめます。
うさぎは新しい家を探してています。木の上にあるコマドリの巣、沼地のなかのカエルの家などを見て回りますが、どれもしっくりきません。そして、一匹のうさぎと出会います。さて、うさぎのおうちはどんなおうちになるのか?



ぼくにげちゃうよ
マーガレット・ワイズ・ブラウン(作) クレメント・ハード(絵) 

岩田みみ(訳) ほるぷ出版

子うさぎはどこかに行きたくなりました。そして、母さんうさぎに「ぼく、にげちゃうよ」と言いました。すると、母さんうさぎは「追いかけますよ」と言いました。だって、子うさぎは母さんうさぎにとって “とっても可愛い、わたしのぼうや” なんですから。こうして、子うさぎと母さんうさぎの掛け合いが始まります。
母さんが追いかけてきたら→川の魚になって泳いでいく→漁師になって釣り上げる→高い山の上の岩になる→登山家になる→庭のクロッカスになる→植木屋になる→小鳥になる→木になる→……と続いていき、子うさぎは「にんげんのこども」になると言います。それに返した母さんうさぎの言葉に、子うさぎは観念します。ひと区切りついたところで、母さんうさぎは子うさぎに “にんじんをおあがり” とくるのですから、やっぱり「母さんは母さん」です。子どもがどうあらがっても、とうてい母さんにはかなうものではありません。 
モノクロページとカラーページ(ここには母さんの答えが描かれています)が交互に続いていきます。
1942年に刊行され、長い間ずっと読み継がれてきた絵本です。



きんのたまごのほん
マーガレット・ワイズ・ブラウン(作) レナード・ワイスガード(絵) 
渡辺茂男(訳) 童話館出版

ひとりぼっちのうさぎの男の子がたまごをみつけました。たまごのなかにはなにがあるのかなと、うさぎの子はあれこれ想像します。たまごのなかでは、何か動いているようです。たしかに、なかには何かがいるのです。うさぎの子はたまごをふってみたり、おしてみたり、飛び乗ったりしましたけれども、たまごのなかのものについては、さっぱりわかりません。うさぎの子は、そのやわらかな耳をたまごにあてて聴いてみたりするのです。( ふわふわにうさぎの毛がこちらの肌に触れた感じがしました ) うさぎの子はそのうちに眠くなってきました。たまごに身をよせて眠りこんでしまいました。ピシッピシッと音がして、たまごの殻が割れてアヒルの子が出てきました。アヒルの子は、自分はひとりぼっちだと思っていたのですが、殻からでてきたら、そこにうさぎの子がいたのです。アヒルの子は、うさぎの子をおしてみたり、上に飛び乗ってみたり、丘の下にころがします。うさぎの子は目をさまし、たまごがなくなっていることに気づき、アヒルの子を見て…



うさぎ小学校
アルベルト・ジクストゥス(作) フリッツ・コッホ=ゴータ(絵) 

はたさわゆうこ(訳) 徳間書店

子うさぎの兄妹ハンスとグレートヒェンは、今日から小学校に行きます。二匹は小学校をとても楽しみにしていました。校長先生は長い耳をしています。そして、いろいろなことを教えてくれます。うさぎとして生きていくために必要なこと、食べられる植物や身の守り方などを教えてくれます。学校のみんなと畑の世話もします。校長先生はときどきカミナリを落とすそうです。絵本の表紙の校長先生は、立派な服装をしていてちょっと怖そうです。けれども、子うさぎたちは小学校を楽しく満喫しているようです。
80年も読まれてきた、ドイツの絵本。絵に風格があります。

うさぎ小学校のえんそく
アルベルト・ジクストゥス(作) フリッツ・コッホ=ゴータ(絵) 

はたさわゆうこ(訳) 徳間書店

うさぎ小学校のえんそくの日です。子うさぎたちのおとうさんもおかあさんも一緒です。野山をめざして、レッツゴー! 太鼓や笛を鳴らしながら、みんなで歩いて行きます。楽しいことがいろいろあって、おいしいお弁当もたっぷり用意されています。きっと、いい経験と思い出が残ります。



うさぎくんとママ
リチャード・スキャリー(作) 木坂涼(訳) 好学社

うさぎくんは元気いっぱい。いたずらざかりの男の子です。パパの邪魔をしたりして…それでもパパと約束します。「いい子にしています」と約束した…のだけれど。テレビの音を大きくしすぎて、ママはビックリ仰天! うさぎくんは、悪気があってしているのではないんです。でも、とにかくママはうさぎくんに大変な目にあわされている毎日なのです。そんなうさぎくんが、あるときママの気持ちを知ることになるのですが。さて、うさぎくんは……



あかちゃんうさぎとパパ
パッツィ・スキャリー(作) リチャード・スキャリー(絵) 木坂涼(訳) 
好学社

うさぎのパパがあかちゃんうさぎを「たかい、たかーい」しています。
この子は、大きくなったら何になるのかな?
うさぎのママ、パパ、お兄ちゃん、お姉ちゃん、大おばさん、大おじさん、おじいさん、おばあさんと想像をふくらませて考えます。「おまわりさん」じゃないかしら…「パイロット」かも…「ライオン使い」になるぞ…「郵便屋さん」ですよ…などなど、出てきます。みんなはいろいろ言いますが、あかちゃんうさぎはにんじんを食べていて……さて、あかちゃんうさぎがなると決めているものは何だと思いますか? 大好きな……あれです!
作者が息子さんに捧げた絵本です。1955年の作品です。



うさぎがいっぱい
リチャード・スキャリー(作) 木坂涼(訳) 好学社

ワタオウサギは、しっぽが綿みたいに真っ白です。カンジキウサギは足が大きくて、毛が夏は茶色で冬は白色です。アンゴラウサギは、毛がとっても柔らかいです。ロップイヤーといううさぎは、耳が長くて垂れています。こんなふうにうさぎがいっぱい、いっぱいです。おもしろくてたのしいです。



うさぎのすあなにいるのはだあれ?
ジュリア・ドナルドソン(文) ヘレン・オクセンバリー(絵) 

とたにようこ(訳) 徳間書店

うさぎが自分の巣穴に帰ってきました。すると、巣穴の中から大きな声がします。”はらぺこぴょんがぶりん”と名乗る不審者が「うさぎの耳が大好物。食べちゃうぞ! 」とうさぎを脅してくるのです。ネコやクマやゾウたちがどうにかしようとするのだけれど、巣穴の中にいる者に怖気づいてしまってうまくいきません。だって、「ネコのしっぽをプチンと抜く」とか、「ゾウも大好物」なんて言われたら大きなゾウだって二の足を踏むってもんです。が、そこへ登場したのが、カエルの母さんです。母さんは、”はらぺこぴょんがぶり”が自分の子とわかると、わが子に声をかけます。すると、”はらぺこ~”くんは母さんカエルと一緒に帰って行きました。みんなは、大笑いという大団円です。母さんカエルがわが子にかけた言葉は、どんなものだったと思いますか?



あめのひだいすき
バレリー・ゴルバチョフ(作・絵) 那須田淳(訳) ノルドズット・ジャパン

今日は雨です。元気な子うさぎたちは、外で思いっきり遊びたいけれど、無理です。そんな時、子うさぎのニッキーがある提案をします。「砂漠に行こう! 」さあ、子うさぎたちの空想旅行の始まりです。雨の日の過ごし方。発想力100パーセントの子うさぎたちにおつきあいください。



おかあさんがいちばん
バレリー・ゴルバチョフ(作・絵) 那須田淳(訳) 講談社

子うさぎのニック。ちょっとこわがりのうさぎの子。夜、ゆめをみてこわくなります。はらぺこのオオカミたちに襲われそうになって…こわいよー、たすけてー、おーかーあーさーんー! いっしょに寝ていた兄弟たちも、なぜか、こわくなって…たすけてー、ということに。そんな時、さっそうと現れて、子うさぎたちを助けてくれるのは、お母さんうさぎです! どんなときも、おかあさんは子うさぎたちにとって、大きくて強くて頼もしい存在なのです。



おうちがいちばん
キャロル・ロス(作) バレリー・ゴルバチョフ(絵) 那須田淳(訳) 
講談社

森に引っ越した子うさぎのニック。ちょっと、さびしがりやのうさぎの子。新しい家ではじめての夜。静かだ、静かすぎる。静かすぎて…この家では眠れない。お友達の家に泊まらせてもらいに行く、ニック。でも……やっぱり自分の家がいちばんと気付くニック。



クリストファーのしあわせないちにち
バレリー・ゴルバチョフ(作・絵) 三原泉(訳) 偕成社

子うさぎのクリストファー。今日は学校でヤギ先生から、「数の数え方」を習いました。学校から帰ったクリストファーはおかあさんに、さっそく学校で習ったことを報告します。そして、かばんのなかのものを数えてみせます。えんぴつ、ノート、クレヨンを数えてみせます。家のなかのものを、いろいろ数えはじめます。学校で教わったことを自分の知識として所有した喜び。これから、どんどん知識を吸収していくことになる、クリストファー。新しい発見をするたびに、おかあさんに「今日ね、こんなことがあったんだ! 」と目をキラキラさせて話すクリストファーが目に見えるようです。



うさぎのマシュマロ
クレア・ターレー・ニューベリー(作・絵) 劉優貴子(訳) 講談社

しましまの猫のオリバー。小さなころからティリーさんに飼われていて、外のことは知りません。だから、長い耳をした、ふわふわの真っ白な子うさぎを見たときは、怖くなってしまったくらいでした。でも、だんだんと慣れてくると、子うさぎのマシュマロにとびかかろうとしたりもします。そんなオリバーとマシュマロのおはなしです。オリバーもマシュマロの実在した、本当のおはなしです。
1943年にコルデコット・オナー賞受賞。60年もの長きにわたり読み継がれてきた絵本です。表紙の真っ白なうさぎがなんとも言えません。黒のバックに赤い目をした真っ白なフワフワうさぎです。



天の火をぬすんだウサギ
ジョアンナ・トゥロートン(作・絵) 山口文生(訳) 評論社

その昔、地上に”火”はありませんでした。火は山の上にあり、天の人たちが守っていました。その天の人たちは、火をくれませんでした。地上に冷たい風が吹きます。だれかが天から火をとってこなくては、とても生きてはいけません。一番賢いウサギが抜擢されました。ウサギは、松脂を塗った羽根飾りをかぶって、天の人たちが住む山へと向かいました。天の人たちは、ウサギを警戒します。ウサギは「踊りを教えに来た」と言い、その踊りは天の人たちの生活にとても役立つような方便をまくしたてます。そして、踊りを教えるフリをしながらたき火に近づいていきます。すばやく、羽根飾りにたき火の火をつけると、山を一目散に駆け下ります。天の人たちは、ウサギを追いかけます。そして、ウサギを大雨、みぞれ、雪、落雷などで攻め立てます。しかし、走る走るウサギの羽根飾りの火は消えません。が、さすがのウサギも疲労困憊です。そこで、羽根飾りをリスへと、バトンタッチのリレープレイとなります。このことで、「リスの尻尾が丸まった」という話ができて…という風に、羽根飾りがリレーされていく動物たちの由来が語られていきます。
この絵本は、北米インディアンに伝わる「火の起源」の2つの伝説をもとに作られたおはなしです。



エスター・ハージー王子の冒険
イレーネ・ディーシェ、ハンス・マグヌス・エンツェン(作) 

ミヒャエル・ゾーヴァ(絵) 那須田淳、木本栄(共訳) 評論社

うさぎのエスター・ハージー伯爵家に一族最大の危機が持ち上がった。これまで、繁栄を誇ってきた一族の体格がだんだんと小さくなってきたのだ。このままではいけません! 伯爵は、王子に体格の大きなお嫁さんをさがす旅に出します。ドイツは、時あたかも東西分裂時代。王子はそこベルリンで、大きなうさぎの女の子ミミに出会います。しかし、離れ離れになってしまいます。王子はデパートで働いたりと苦労しながら、うさぎがたくさんいるというベルリンの壁をめざして行きます。ミヒャエル・ゾーヴァの奥深い絵とともに物語を堪能してください。



うさぎ
ジョン・バーニンガム(作・絵) 谷川俊太郎(訳) 冨山房

男の子がうさぎを飼っています。男の子とうさぎのふれあいが描かれています。男の子がうさぎが好きなこと、大事にお世話をしていることがよくわかります。小さな子が動物を撫でると、動物はされるがままにしていますよね。なぜか、その様子をみるとなごみます。あたたかな絵と詩のような文章がさらりと入り込んできます。小さな子がその手で開いて鑑賞するには、ピッタリの絵本です。



うさぎ、うさぎ、どこいくの
ピーター・マッカーティー(作・絵) 多賀京子(訳) 徳間書店

小さな白いうさぎは、歩きだしました。行かなくてはならないところがあるから、歩きだしました。丘を下り、ヒツジの間を通り抜け、線路をわたり、囲いの隙間を通り抜け、歩いて行きました。夜がきて、小さなうさぎは休みました。女の子の声で目を覚ましました。女の子は、「いくところがないならうちへおいで」と、言ってくれたけれど。小さなうさぎにその気はありません。小さなうさぎはずんずんずんずん歩き続けました。そして、目的の地にたどり着きました。小さなうさぎはここまで来るのに「うしろをふりかえりはしなかった」とあります。抑えた色調の鉄筆で削ったような風合のなかにいる小さな白いうさぎが、本当に小さくて、でも二本の足で歩いて行く姿が凛々しく見えました。



ちいさなうさぎのものがたり
アルヴィン・トレッセルト(文) レナード・ワイスガード(絵) 

安藤紀子(訳) ロクリン社

三匹の子うさぎは、少しずつ生き方を学んでいきます。用心しながらも外に出ることが、だんだんと楽しくなっていきます。巣穴のなかが狭くなってきて、一匹ずつ外へと旅立っていく時期が来ます。森のなかを行き動物たちと出会い、ひとりでクローバーをさがして食べます。自然のなかで生きていく様子が丁寧な絵とともに語られます。



うさぎたちとふしぎなこうじょう
アダム・グリーン(作) レナード・ワイスガード(絵) こみやゆう(訳)
好学社

使われていない工場に、うさぎが2匹やって来ました。それから、4匹、8匹……とどんどん増えていきました。ホントにたくさんのうさぎたち。いろいろな種類や性格のたくさんのうさぎたち。ある時、知りたがりのうさぎが、工場の機械のボタンを押しました。すると、イースタのたまごやお菓子や人形などが製造されはじめました。次から次へとあふれかえるほどに出来上がっていきました。たくさんのうさぎたちと、たくさんのお楽しみだらけになりました。でも、そんなことに関心のないうさぎもいました。その茶色いうさぎも、自分のお楽しみを見つけたようです。とにかくかわいいうさぎたちをご覧ください。



オオカミ
エミリー・グラヴェット(作・絵) ゆづきかやこ(訳) 小峰書店

G.ラビット様( 住所 ニブルスウィック 広い広い野原 ウサギのかくれがつきあたり )宛てに、図書館長のL.ブリアン様から、「オオカミ」という図書の返却についての督促の手紙が届いています。

…これより前のことです…
ラビットさんは、図書館で「オオカミ」という本を借りました。さっそく、歩きながら読み始めました。「灰色オオカミには42本の歯があり、肉食。シカ、バイソン、ヘラジカなどを襲って食べる。また、小さな動物も好んで食べる。ウサギ…」と読んできました。そのとき、ラビットさんはどこにいたと思いますか? ラビットさんは夢中で本を読みながら来て、今いるのは、なんと、灰色オオカミのフサフサの毛の上なのでした。そして、時すでに遅し……ズタズタになった「オオカミ」の本が残りました。返却できない「オオカミ」という本が。

作者はもうひとつのストーリーも用意しています。「オオカミがベジタリアンだった」というものです。



ちょっとまって、きつねさん!
カトリーン・シェーラー(作・絵) 関口裕昭(訳) 光村教育図書

うさぎのぼうやが迷子になりました。おなかをすかせたきつねが近づいてきます。そして、大きな口をあけてうさぎのぼうやを食べようと…すると、うさぎのぼうやが「ちょっと、まって」と言います。ぼうやによると、なんとこの場所は、きつねとうさぎがあったら「おやすみなさい」を言う場所だというのです。そう聞くときつねは「おやすみなさい」と返すのです。知恵の働くうさぎのぼうやときつねのやりとりが続きます。きつねはぼうやの家にまで行ってしまいます。



うさぎさんてつだってほしいの
シャーロット・ゾロトウ(作) モーリス・センダック(絵) 

こだまともこ(訳) 冨山房

お母さんの誕生日に贈るプレゼント。女の子は、うさぎさんにその相談をします。お母さんの好きなもの。赤いものは…黄色いものは…女の子とうさぎさんは、会話を続けていき、プレゼントを決めていきます。プレゼントがきまりうさぎさんは帰っていきます。こちらを向いているすらりとしたうさぎさんや女の子の様子など、センダックの絵もじっくりと見てください。うさぎさんも女の子もふつうのうさぎさんと女の子なのかな……



うんちっち
ステファニー・ブレイク(作) ふしみみさ(訳) あすなろ書房

うさぎの子、シモン。言える言葉は「うんちっち」だけの男の子。お母さんが「起きなさい」、お父さんが「ほうれん草を食べなさい」、お姉さんが「お風呂に入ろう」と、シモンに言えば、返ってくるのは「うんちっち」only。あるとき、オオカミがやって来ました。「食べてもいいかな ?」とオオカミに問われたシモンは、もちろん「うんちっち」と答えました。そして……家に帰ったオオカミに奥さんが「おかえりなさい」。さて、オオカミは何と答えたでしょうか。その後、オオカミは具合が悪くなり、お医者さんが呼ばれました。そのお医者さんは、シモンのお父さんなのです。シモンはもどってきますけれど、最後のページでシモンの放つ言葉とは……



オオカミだー!
ステファニー・ブレイク(作・絵) ふしみみさを(訳) あすなろ書房

うさぎの子、シモン。どれだけ注意をされても、やりたい放題の男の子。してはいけないところで、してはいけないことをしていたシモンに、「こら、ここをどこだと思っているんだ! 」と声をかけてくる者がいる。オオカミです。シモンは「オオカミがでた」と話すけれど、だれも信じてくれません。そして、オオカミにつかまってしまします。



ちびちっち
ステファニー・ブレイク(作・絵) ふしみみさを(訳) あすなろ書房

うさぎの子、シモン。お兄ちゃんになりました。弟うさぎはガスパール。お父さんもお母さんも、ガスパールにかかりっきりです。「帰れ! 」とガスパールに言ってしまいます。お母さんは「ガスパールは帰らないのよ」とさとしますが…弟にやきもちを焼く兄の心境。



そのウサギはエミリー・ブラウンのっ!
クレシッダ・コーウェル(作) ニール・レイトン(絵) まつかわまゆみ(訳)
評論社

女の子のエミリー。ウサギのスタンリー。ふたりはいつも一緒。毎日、ふたりで冒険をしています。グローリア3世女王のお城から、エミリーのもとに使者がつかわされてきました。女王に「ウサギを引き渡すように」という命令です。でも、エミリーはそれを突っぱねます。しかし、使者がウサギを盗んでいってしまいます。エミリーは怒り、お城に乗り込みます。そこでエミリーは、女王の現実に気づくのです。



野うさぎのフルー
リダ・フォシェ(作) フェードル・ロジャンコフスキー(絵) 石井桃子(訳)
童話館出版

お父さんはキツネに食べられました。妹はフクロウにさらわれました。お母さんは帰って来ません。そして、うさぎのフルーはひとりぼっちになりました。巡る季節のなかを、ひとりで生きていきます。そんななかで、フルーは女の子のうさぎのキャプシーヌに出会います。ふたりですごす毎日は、それはそれは楽しく素晴らしいものとなっていきます。そこへ、鉄砲と犬。ウサギ狩りです。ふたりは逃げだす。悪いことに、別々の方へと逃げたために、ふたりは離れ離れになってしまいます。フルーはまた、ひとりです。厳しい冬、ひとりのフルーにとっては、ひとしおつらい季節となります。そして、春になり林へと入り込んだフルーに、風にのって運ばれてきたものとは。



ふたごのうさぎ
ダフネ・ロウター(著) NHK出版

おしゃれなふたごのうさぎの女の子たちのお話です。でも、文字はありません。なかよしのニワトリさんは登場します。女の子たちがいる場面がステキに描かれています。映画のワンシーンが連なっているようです。ふたりは時の流れのなかにいます。ストーリーのなかにいます。ページを開いたあなたに、ストーリーが目に見えてくるかも、耳に聞こえてくるかもしれません。そうではない…あなたは、ご自分でストーリーを作ってみてください。それは無理かも…というあなたは、ただ、眺めていくだけでも楽しめると思います。



ABCうさぎ
ワンダ・ガアグ(文・絵) 戸澤柊(訳) 文遊社

りんご (APPLE) が木から落ちて、
驚いたうさぎ (BUNNY) がかけだして、 
うさぎは、こうして町を飛び出していきます。うさぎは、いろいろなところで、いろいろなものに出会い、いろいろな経験をして、町に帰ってきます。その間に、A,B,C,D,E,F,G,……X,Y,Z. と “ABC” のお勉強ができます。絵が物語を伝えてくれているので、絵を追っていくだけでも楽しめます。子どもも大人も楽しめます。
アメリカの絵本の古典。原書では、作者の妹のフラビアさん作曲の楽譜が付いているそうです。



どんなにきみがすきだかあててごらん
サム・マクブラットニィ(作) アニタ・ジェラーム(絵) 小川仁央(訳)
評論社

チビウサギとデカウサギ。チビちゃんはデカくんに、「どんなにきみのことが好きだかあててごらん」と聞いてみたくなります。チビちゃんは、うでをおもいっきりのばしてその思いを伝えます。それに対してデカくんは、それ以上だと大きく出ます。ふたりの互いへの思いの伝え合いは、どんどんエスカレートしていきます。そのうちにチビちゃんは眠くなってきます。チビちゃんは “月にとどくくらい” 好きだと言い、眠りにつきます。デカくんは、チビちゃんを優しく寝かせて、キスをして…「ぼくは、きみのこと……」
好意を持つふたりが向き合い、自分の気持ちを率直に真剣に言い合えることは、とても大事なこと。口に出して直に表現すると、伝わり方が違いますね。



しろいうさぎとくろいうさぎ
ガース・ウィリアムズ(文・絵) 松岡享子(訳) 福音館書店

白いうさぎと黒いうさぎ。ふたりがあそんでいると、ふと黒いウサギが座り込みます。悲しそうな顔をして何か考え込んでいる様子です。白いうさぎは黒いうさぎに何を考えているのかききます。黒いうさぎは、「きみといつまでもいっしょにいられるようにねがいごとをしているんだ」と答えます。それを聞いた白いうさぎは、熟慮のすえに言いました。「もっといっしょうけんめいにねがってみたら? 」黒いうさぎはその通りにします。そして、白いうさぎに「これからも……」と言います。それに対し、白いうさぎは答えます。ふたりにはハッピーなはこびとなります。ふたりが思いを確かめ合うシーンがいいです。仲間たちの祝福もうれしいです。







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